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東京地方裁判所 平成4年(特わ)1967号 判決

本店所在地

東京都江戸川区中葛西七丁目八番五号

株式会社郡産業

(代表者代表取締役 郡修三)

本籍

埼玉県北葛飾郡鷲宮町大字上川崎三四七番地

住居

東京都江戸川区西葛西三丁目一四番六号 三洋ガーデン六〇四号室

会社役員

郡修三

昭和二四年九月二五日生

主文

被告人株式会社郡産業を罰金三〇〇〇万円に、被告人郡修三を懲役一年に処する。

被告人郡修三に対し、この裁判の確定した日から三年間刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人株式会社郡産業(以下「被告会社」という。)は、東京都江戸川区中葛西七丁目八番五号(平成四年三月一二日以前は同区北葛西二丁目三番一六号、平成元年二月二日以前は同区中葛西三丁目二五番一六-四〇一号)に本店を置き、鳶土木工事の請負、建築資材の販売及び加工等を目的とする資本金三〇〇万円の株式会社であり、被告人郡修三(以下「被告人」という。)は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括していた。被告人は、被告会社の業務に関し、その法人税を免れようと考え、架空外注費を計上したり、売上げの一部を除外するなどの方法により所得の一部を隠して、

第一  昭和六三年四月一日から平成元年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一億五二三七万八六八三円であった(別紙1修正損益計算書参照)のに、その法人税の納期限であった同年五月三一日までに、同区平井一丁目一六番一一号にある所轄の江戸川税務署の税務署長に対し、法人税確定申告書を提出しなかった。そして、そのまま法定の納期限を経過させた結果、この事業年度における正規の法人税額六三〇三万八七〇〇円(別紙2脱税額計算書参照)を免れた。

第二  平成元年四月一日から平成二年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一億一七四九万一一六七円であった(別紙3修正損益計算書参照)のに、同年五月三一日、江戸川税務署において、税務署長に対し、その所得金額が二七八八万六四一九円で、これに対する法人税額が九九八万円であるという虚偽の内容の法人税確定申告書を提出した。そして、そのまま法定の納期限を経過させた結果、この事業年度における正規の法人税額四五九八万三三〇〇円と申告税額との差額三六〇〇万三三〇〇円(別紙4脱税額計算書参照)を免れた。

第三  平成二年四月一日から平成三年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が九七五八万七一一八円であった(別紙5修正損益計算書参照)のに、同年五月三一日、江戸川税務署において、税務署長に対し、その所得金額が一三五九万六二一九円で、これに対する法人税額が四〇四万九四〇〇円であるという虚偽の内容の法人税確定申告書を提出した。そして、そのまま法定の納期限を経過させた結果、この事業年度における正規の法人税額三五六八万〇六〇〇円と申告税額との差額三一六三万一二〇〇円(別紙6脱税額計算書参照)を免れた。

(証拠)

(注)括弧内の算用数字は、押収番号を除き、証拠等関係カード検察官請求分の請求番号を示す。

全事実について

1  被告人の

〈1〉  公判供述

〈2〉  検察官調書一〇通

2  高橋初美、郡妙子の検察官調書

3  売上高調査書、仕入高調査書、外注費調査書、交際費調査書、賃借料調査書、保険料調査書、租税公課調査書、地代家賃調査書、受取利息調査書、雑収入調査書、損金の額に算入した道府県民税利子割調査書、交際費の損金不算入額調査書、法人税から控除される所得税調査書、事業税認定損調査書

4  捜査報告書(甲40)

5  証拠品提出書

6  商業登記簿謄本

第一の事実について

7  梅田巌、玉川文明の検察官調査書

8  支払利息割引料調査書

9  給料手当調査書、法定福利費調査書、福利厚生費調査書、通信費調査書、修繕費調査書、消耗品費調査書、雑費調査書

10  期首棚卸高調査書、期末棚卸高調査書、水道光熱費調査書、運賃調査書、諸会費調査書、受取配当金調査書

11  捜査報告書(甲31)

第二の事実について

前期7、8の証拠

12  中山恒寿の検察官調書

13  減価償却費調査書、固定資産売却損調査書

14  固定資産売却益調査書、都民税還付金調査書

15  捜査報告書(甲24)

16  確定申告書一袋(平成四年押第一四七三号の1)

第三の事実について

前期9、12、14の証拠

17  羽沢美和子の検察官調書

18  旅費交通費調査書、事務用品費調査書

19  捜査報告書(甲6、10、21)

20  確定申告書一綴(同押号の2)

(法令の適用)

罰条

被告会社について いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項(情状による)

被告人について いずれも同法一五九条一項

刑種の選択

被告人について 懲役刑

併合罪の処理 刑法四五条前段

被告会社について 刑法四八条二項(各罪の罰金額を合算)

被告人について 刑法四七条本文、一〇条(犯情の最も重い第一の罪の刑に加重)

刑の執行猶予

被告人について 刑法二五条一項

(出席した検察官立澤正人、弁護人大﨑勲、新開文雄)

(裁判官 朝山芳史)

別紙1

修正損益計算書

〈省略〉

別紙2

脱税額計算書

〈省略〉

別紙3

修正損益計算書

〈省略〉

別紙4

脱税額計算書

〈省略〉

別紙5

修正損益計算書

〈省略〉

別紙6

脱税額計算書

〈省略〉

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